# 忘却の空

気がつくとオレは
マヨネーズをつけられていた

まったくおかしな話だが
事実 つけられているのだ マヨネーズを

頭痛がひどい すべてがあいまいだ
今日の事も 昨日のことも
家族のことも 自分自身の事ですら すべてが

水の思い出 やわらかい感覚 潮の匂い 太陽 母・・

子供の頃の夢か
いろいろな イメージが
フラッシュバックする
記憶の断片と言うべき イメージが

頭痛がひどい
ほてるカラダ
すべてがあいまいだ

意識が遠くなるとは
こう言う感覚を 言うのだろうきっと

生まれゆく 水の中
たくさんの 兄弟 姉妹達
消えゆく 太陽 輝き 軟体の体
食べる 泳ぐ 交わる 逃げる
捕らえる 水の流れ 隠れる

今までの わたしのすべての記憶が 流れゆく

捕まる 太陽 乾く 硬い

これをきっと「人生の走馬灯」というのだろう

わたしは目覚める
すべての終りの前に

わたしは 死ぬのだ! いや もう死んでいる

きっと

生死ではなく 消えるのだ すべて 無の前に

軟体から 変わり果てて乾いてしまった わたしの体

<font size=6>「ぱくっ」</font>

もう イカではなく スルメでもない 今は

わたしは いつまでも わたしのまま 漂い続ける

いつまでも いつまでも

「消化の悪い するめの話」