恐怖!!開かずの小屋

[恐怖!! 開かずの小屋]

僕は 海辺の小さな漁業の町で生まれた
窓からは 海とウミネコの鳴く声を聞いて育った
あれから 何年経つのだろうか・・・
これから話す事は 僕が子供の頃に体験した恐怖の物語です

僕の父は真面目な漁師だった
お酒さえ飲まなければ とてもやさしい 真面目な父
お酒さえ飲まなければ・・・・

家の裏庭には 「お仕置き小屋」と呼ばれる小屋があった
その小屋は 元々漁の道具や捕った魚や貝類を
発砲スチロールや 木箱に入れて
一時的に置いてたりするのに使われている小屋なのだが
しばしば イタズラをする僕を 反省させる為に
閉じ込めたりする為の小屋でもあった.
薄暗く じめじめとして
魚の匂いが充満する小屋,いい思い出がない.

あの日は 夕方から雨の強く降る日だった.
例によって 僕は近所の駄菓子屋から
ビックリマンチョコ」を 1ダース
店の おばぁちゃんが 見てない隙に
お腹のT-シャツに隠して 盗もうとしてる所を
お店の次男で 自衛隊 帰りの オサムオジさんに
現場を見られてしまったのだった.

家に帰った僕の父はお店の連絡で
カンカンに怒っていた.
酒を飲んだ父に
僕は いつもより数十回多く殴られつづけた.
その後 例の小屋へ 閉じ込められた。

「出してくれよ〜」
雨がだんだん強くなり 寂しさも増してくる
「出してくれよ〜」
魚の匂いが充満する開かずの小屋
「出してくれよ〜」
木箱の中の 魚の目が 光って僕を見つめる
「出してくれよ〜」
発泡スチロールの中の
「出してくれよ〜」
数の子に 気づく
「出してくれよ〜」
外の雨の音が 一段と大きくなる
「出してくれよ〜」
風の音が 人の声に聞こえる
「開かないよ〜」
発泡スチロールの中の
「開かずの〜」

僕は 恐怖のあまり
声に 出して叫んでしまった!!

<font size=6>「あっ 数の子や〜!」</font>

・ ・ ・ ・ ・

「恐怖!! 開かずの小屋」〜完〜

全国の 「数の子」と
あだ名されてる
かずこちゃんに捧ぐ