『マザー』 *02-02-03〜『Perspective』〜

『マザー』 *02-02-03〜『Perspective』〜

『・・あのぉ・すみません 星野絹枝さんですね・・・・』
絹枝は駅の切符売り場の前で 若い男に声を掛けられた
絹枝は 和服姿で 歳は50代後半から
60代前半ぐらいの優雅な印象の女性だった

『あなたは覚醒されたのですか?』絹枝は微笑みながら声を返した。
不意に返された言葉に男は 戸惑う
『そうですよねあなたは強い人ですからね、河原と違って・・・・
滅ぼされたりはしない。 中立(ニュートラル)なのが幸いね』
絹枝の口調はやさしい。何もかも悟ったように
『ちっ・・・ちょっと待ってくれ オレは何も・・・・』

『あなたは何を知りたいのですか?焦ることはないけど まだ』

『あなたは・・・いったい・・・』
男は言いかけた言葉の その次に迷う。

人の比較的多い昼間の駅
曇りがちの天気
日が射したり曇ったり
親子ほどの年齢差の2人がこにいる。

『あら そうそう あなたのお名前を聞いていなかったわね』

『あっ 失礼しました』男は我に返る。
いつも通りの礼儀正しい まじめな男に戻って。
『わたしは 穴沢裕一と申します、
この奇妙な体 について 何か御存知かと思いあなたに会いにきました』

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